うさお
会社の図書室に面白い本がありました。二度目の会社は土木のコンサルタント会社で、私の上司になった人は「水理学」を専門とする人でした。
彼は地質や地盤工学が主体で、会社の業務で海外にも多く出張していたせいか、英語に堪能で私にも英文の文献を渡し「読んでみてください」と言われたものです。これは品の良いいじめだ。
そんなこんなで図書室で権威のある水の専門書を見つけました。業務で必要になったからですが、いつもの癖で余計なダウジングの項を読んでしまいました。ええ~、この記述は・・・少し吃驚です。
本の名前は「新版地下水調査法」。
昭和58年3月10日 初版第1刷発行
著 者 山本荘毅
発行者 株式会社 古今書院 橋本 真
発行所 株式会社古今書院
〒101東京都千代田区神田駿河台2-10
電話03-291-2757 振替東京0-35340
◎1983 SOKI YAMAMOTO 斗南印刷・高地製本
ISBN4-7722-1126-8
おっ、初版本だ。価値があるかも。うさおは、もう少し古い明治時代の本がお好みでしたが、とにかく内容を読んでみましょう。
「第4章 採水調査
採水調査とは試掘,試錐,物理探査などによって帯水層の塩類・性質・位置・厚さ・分布範囲・難透水層や基盤の位置・形態などを明らかにするための調査である。
前章で述べた測水は,いわば水文学的には予測調査ともいわれるべき性質のものであって,これだけで充分とはいえない。
最後的な結論をうるためには排水の結果をふまえて試掘または試錐と揚水を行う必要がある。井戸や地下水の露頭がないときには,測水も行うことができないから調査に困難を感ずる。
このような場合,採水工事を直ちに行うことははなはだ危険で,業者もなかなか引き受けないのが普通である。たまたま引き受けても危険率を見込む法外な値段を要求するから,はなはだしく不経済でしかも危険率が大きい。測水調査のできない場合,あるものは地形・地質から判断を下し,あるものは神懸りの占師的判断を下すという調子である。このような状態は欧米諸国でも同様で,現在なお“占いの枝”(バグェット)が使用されていることからも察せられる。
4.1 占いの枝
ヨーロッパやアメリカ合衆国では“占いの枝”(Witch stick)で地下水を探す水占い師(dowserとかWaterWitchとかdivinerという)がある。二又になった枝で,これを両手にもち,掌を上に向けるのであるが,Y字形の先端は地面に45°の角をなすようにする。水占い師は,このような格好で,探査区域を行ったり来たりする。彼が水のあるところへ来ると,占い棒の台尻は下方にひっぱられるか回転をする。占い師に与える地下水の力は非常に大きいので,棒が回るとき,手の皮がむけるということである.また,ある者は回る棒のために,手が火ぶくれをおこすとか,充血するとかいわれている。
水占い師の使う木の枝は,桃や柳の木の枝か,占いはしばみ(witch hazels)の枝がよいとされている。ある者は,まっすぐな棒や金属棒を使うが,鍵,コートハソガー,やっとこ,振子,電池を内蔵する精巧な箱を使うこともある。日本に数人の水占い師がいるが,彼らはたいてい,白木の三宝の上に“何か”をのせ,白布でおおっている。“何か”を人に見せることはないから,それが何であるかわからない。彼らは,しかるべき場所で魔力に感じ,ある者はその場所で失神する。
水は,水占い師の霊感をよびおこす物質のひとつであるから発見できるのである。彼らはまた,金,銀,鉛,ウラニウム,石炭,石油など貴重な資源を発見しようと試みる。ある者は,また,病気の診療もし,生れていない赤ん坊の性をいい当てる。とにかく,これは鉱物の探査に使われてきたし,隠れている財宝を発見するだけでなく,失われた土地標をみつけ,土地の境界を再確定,罪人を見つけ,性格の分析を行い,病気を救い,見失った家畜の行方まで追跡する。
水占いは,もともと現地で行うものであるが,ある水占い師は地図の上だけで棒を図上に動かすことによって,水をみつけることもある。ヨーロッパでは,水占い師をハイドロロジストとよんでいた。国際水文学協会は初めInternational Association of Scientific Hydrology,IASHであったが,これはHydrological Sciences(IAHS)と改められた。ハイドロロジストの学問と間違われないようにするためである。
現在,水占いは田舎でしか行われない。そこでは,水が必要であるが,探査に金をかけるのは嫌だという場合である。最近の人びとは,水占いをあまり信用しなくなってきたが,水占い師はみんな誠実な人であり,自ら水を探知できる能力をもっていると信じている人が多い。
水占いの最初は,旧訳聖書にあるように,モーゼが杖を立てたら水が噴き出したという故事で,セイティア人,ペルシャ人やメディア人はこの方法を使った。下って,ギリシャ人やローマ人の科学者は,指示や暗示を与えはしたが,この方法を使わなかった。日本にも,弘法大師伝説にまったく同じものがある。
ヨ-ロッパにおけるこの技術の正確な起源は知られていない。最初にこれを記載したのは,ヨハネス・アグリコテ(Johanes Agricola,1556)で,“De Re Metallica”において記述をした。英国に伝わったのは,エリザベスI世のときで,それからヨーロッパ大陸に伝わった。アメリカには18世紀に英国人,ドイツ人の移住者が伝えたが,記録は少ない。1775年以後,水占いの成果や呪力を新聞が宣伝した。アメリカ合衆国では,現在約25,000人の水占い師が活躍している(1960年代)。
彼らは井戸の深さと水量を予言する。もし当たらなければ,丘陵が邪魔をしたとか,ポケットに金属があってショートしたとか,井戸屋が指示した点を掘らなかったとか,井戸の振り方が悪くて微妙な水脈をこわしたとかいいのがれをするといわれている。」
“占いの枝”(Witch stick)についても、至って学術的に取り上げている。決して「怪しげな技」として否定はしていない。そこが凄い。
著者の山本荘毅先生はもう亡くなられましたが、以下の経歴の持ち主。学会の重鎮とされる方です。
大正3年(1914)千葉県に生まれる。
昭和5年(1940)東京文理科大学地学科卒業 同年南港州鉄道株式会社入社,終戦後引揚げ
昭和21年(1946)農林省入省
この間アメリカ合衆国地質調査所(USGS)に留学,新潟地盤沈下調査事務所長を兼任する。
昭和3時(1963)東京教育大学教授。つづいて筑波大学教授をへて立正大学教授。(立正大学大学院研究科委員会委員長)
日本学術会議第7・8・9期会員,中央公害対策審議会委員,資源調査会委員 原子炉安全専門審査会委員のほか東京都,千葉県公害対策審議会委員等を兼任する。
日本第四紀学会会長 日本地理学会会長を歴任,現在国際水文学会(IAES)副会長
面白かったのは「株式会社川原設備」さんのホームページです。この会社では真面目にダウジングついて取り組んでいます。多少懐疑的であるという記述は見えますが方法論としては選択肢の一つだとしています。こういうの好きだなあ。
https://kawa-setsu.co.jp/blog/detail/20241226100220/
水脈(地下水脈)を枝で探す方法は「ダウジング(ウィッチングとも呼ばれる)」という伝統的な手法で、主にヤナギや果樹などのY字に分かれた枝を使って行います。地下水が流れる場所の上を通ると、枝が上向きや下向きに動く感覚(または自然に動く)を感じ取ります。
具体的な方法とコツは以下の通りです。
1. 準備する枝
形状: Y字型(また状)の枝が適しており、それぞれの長さが30~40cm程度。
樹種: ヤナギ(ドロヤナギ、柳)、桃、オリーブ、榛の木(ヘーゼル)などが伝統的に使われます。生木がよいとされています。
加工: 葉を取り除き、Y字の又の部分を両手で持ち、残った1本の部分(Stem)が前方を向くようにします。
2. 探し方の手順
持ち方: Y字の2つの枝を、両手の平を上に向けて握ります。肘を脇に軽くつけ、腕の力は抜いて、1本の枝が水平より少し上(約45度)を向くように保持します。
移動: 水脈があると思われるエリアをゆっくりと歩きます。この際、頭の中で「水」を探すことに集中します。
反応: 水脈の上、あるいは地中の水脈に近づくと、前方に伸ばした枝が自動的に下へ曲がる(または上へ向く)動きを感じます。
確定: 枝が強く反応した場所をマークし、周辺を再度歩いて反応が確実かどうか確認します。
3. コツと注意点
リラックス: 精神的にリラックスし、集中することが重要です。
強く握りすぎない: 枝が動く感覚を感じやすくするため、軽く持ちますが、しっかりホールドします。
環境: 心理的に落ち着ける環境で行います。
4. 科学的視点と補足
ダウジングは古くから行われてきた手法ですが、科学的根拠は認められておらず、疑似科学(pseudo-science)とされています。水脈探索の成功は、ダウジング能力というよりは、経験に基づいた地下水の地形的な知見(例えば、湿地や植物の生え方、地形の低い場所など)に起因するケースが多いと言われています。
なお、現代ではダウジングの代わりに、高密度電気探査やボーリング調査(地質調査)によって地下水脈の存在を事前に確実視する手法が用いられます。